vol.015 「似顔絵師V」宮都謹次(1999.5)
5月30日、予告通り、売込隊ビームは万博お祭り広場で行われたフリーマーケットに出店した。終わったから言えるが、ほとんどが昨年11月の通天閣ビーム「ワナナワ」での売れ残り商品だった。当然冬物が多い。この日の暑さは尋常ではなく、毛糸でできた着物は見るのも嫌になる。照りつける太陽は、お肌の曲がり角を迎えている売込隊女たちを容赦無く襲う。確か、去年始めてフリーマーケットを行ったときもこんな天気だった。
日焼けの辛さは嫌というほど知っているため、その対策は万全だった。
さて、話はズレたが、今回のフリーマーケットの目玉商品も、昨年同様「宮都謹次の似顔絵」である。当然のように何十本ものカラーサインペンを持参する宮都。例によって、売込隊のメンバーで腕馴らしする。いつも上手く描けない小山から描き始め、それが上手くいって気を良くしたのか、今回の宮都はいつになく筆が進んだ。
ただ、この暑さ、この気温。似顔絵を描き上げるまでの約20分間を立っているのは非常に辛い。
そのせいか客足はもうひとつだ。古着の方も売れ行きは良くない。そこに現れた救世主は、齢8歳の女児だった。女児はひとりでやってきた。腕馴らしに描いた我々の似顔絵を興味深く覗いている。軽く梅本が声をかける。
「お兄ちゃんに似顔絵描いてもらうか?200円やで」女児は生意気にも照れ、首を横に振る。それでも似顔絵は気になるようだ。ついに女児が口を開いた。「お母さんに聞いてくる」そう言って足早に去って行った。1分後、女児は200円を握り締めて戻ってきた。宮都が立ちあがる。こんな若い女は顔に経験が染み付いていないので書きにくいと思うのだが、宮都は筆を取った。
漆黒の髪に、黄色いターバンを巻いている女児。一発で阪神タイガースファンだとわかる(確認はしていないが)。宮都がそんな世間話を交わしたかどうかは知らないが、その出来は本日最上だった。宮都も満足の様子。その似顔絵に集まった野次馬たちが次から次へと似顔絵を以来、宮都に殺到した。そこからフリーマーケットが終了するまで、宮都は似顔絵を描き続けた。去年より100円アップした値段も妥当と言える今回の出来映え。
今後の更なる値上げが期待できる…いや、今後も良心的に、宮都は機会があれば描き続けるのだろう。 ちなみに、今回の売上は約3万7千円。品が品だけにもうひとつだ。
しかし、我々は性懲りも無く、また秋頃にフリーマーケットを行う予定。
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